寛容の心、和解の精神で、これからも?アメリカに意見して欲しい安倍晋三内閣総理大臣の真珠湾での演説を振り返ります。

2016年12月30日
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アメリカ合衆国ハワイ州真珠湾を訪問し、メッセージを発した安倍晋三内閣総理大臣、あちらこちらからいろいろな評価がされているようです。

私は、安倍首相が真珠湾に行くと聞いた時点から、まさか『本音』は言わないだろうが『戦後レジームからの脱却』なるかねてからの持論を封印するか、とても関心がありました。何れにしてもそこでアメリカ合衆国へ、日本へ向けて発言したことは、世界へ発信されることになるからです。

安倍内閣総理大臣の真珠湾での演説、至るところで掲載されていますから、その内容は、もうここでは引用しません。

これを聞いた日本国民の90%が評価し、内閣支持率は70%近くにまで達したとされます。私も、その演説内容は良いことを言われている、と言うか、日本国憲法のもと、戦後日本が歩んできた道、国際社会で果たすべき役割からすると、当たり前のことを言っていると思いました。ただ、それを安倍晋三氏が言ったのは、日頃の言動、このお方の思想歴史観からすると、チョットあり得ないわけで、果たして本当なの?、夢じゃない、ご本人わかって喋ったの?等等心配する見解もあるのです。

安倍ドクトリンの前半は、敵国に対する終戦直後からのアメリカ合衆国の『寛容な心』、これに感謝を言っています。後半は、世界に類を見ない親密な同盟国となった日本とアメリカ、和解の精神で、世界平和のために尽くすと言っています。

前半部分は、美辞麗句と社交儀礼はともかくも、歴史的にはそのとおりです。しかし、そうであれば、平和主義が徹底されている日本がなすべきこと、特に同盟国アメリカに対してどのような態度をとるべきかは明白であり、実際のところどーなってんの?と言いたいですね。

私は、安倍氏の『郷里の先輩』らが中心となって築いてきた明治維新以来の日本、この国家は一言で評価すると、戦争ばかりしていたと受け取ります。ここではその理由や動機、まして自衛かどうかは議論しません。いつも言うように、戦争そのものが悪だからです。終戦があると言うことは、その最初があるわけで、日本が戦争を止める契機となった太平洋戦争、その始まりが真珠湾とされることから、真珠湾に行く意味があるのです。

ただし、戦争の始まり、そして日本が戦争を止めた、『戦後』となり、平和国家となった契機となった出発点の場所は、実は真珠湾だけではありません。アメリカ世論が騙し討ちと昂揚したのが、その直前まで、日米交渉が行われていたからとされますが、真珠湾の1時間前には、マレー半島を攻撃して上陸しており、真珠湾と同日には、アジア太平洋地域の米英の植民地に、欧米からの解放を名目に、爆撃を加えていました。すなわち、一口に太平洋戦争の始まりと言っても、真珠湾だけではないのです。この事実は、あまり知られていないと言うか、報道されないですね。

開戦の場所としてはいくつかある中で、偶々真珠湾が選ばれた、それはオバマ大統領が広島を訪問したことの返礼でも、退任間近のオバマ大統領へのはなむけであってもよいです。しかし、安倍ドクトリンの前半は、まさに日本国憲法の理念であるところ、かつて氏は、これとは相容れない発言をしています。

日本国憲法は、国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄し、国の交戦権を認めません。つまり、他国に対して国の政策として武力を行使しないと言うこと、侵略戦争をしないことを反省を込めて宣言しているのです。

安倍氏、この日本のかつての侵略戦争を反省する国会決議に反対する目的で結成された『終戦五十周年議員連盟』の事務局長代理の地位につかれ、日本の二百万余の戦没者が、『日本の自存自衛とアジアの平和のために命を捧げた』と述べています。そして与党自民党の決議案が、先の大戦や日本の立場に関して、『侵略的行為』『植民地支配』を容れていることに反対してもおられます。


それでヤルタ会談で、日本の行為を侵略とし、これに連なるポツダム宣言を受け入れた歴史を否定したい、これが『戦後レジームからの脱却』なのではありませんか?安倍ドクトリンにより、これまで発信してきたご本人の思想歴史観を変えたと理解してよろしいのですね。だから評価されていることをお、忘れにならぬように願いたいものです。

真珠湾で亡くなったアメリカ人は、2.500人と言われます。日本人の死者310万人、アジア太平洋地域では1.000万人にも上る尊い命が失われました。人の命は地球より重い、もちろん数の大小で悲劇、そして命の重みが違うものではありません。天皇陛下は、昨年パラオ諸島フィリピン等をその地で命を落とした御霊に対して、哀悼の意を捧げにご訪問されました。安倍晋三さん、朝鮮半島、中国大陸、アジア太平洋地域で落命した数千万人の慰霊に旅する意思はありますか?真珠湾攻撃が、アメリカ国民からすると騙し討ちだとするなら、中国国民からすると、南京大虐殺なのです。

真珠湾でも広島でも、謝罪は必要ありませんでした。それは、心からの反省と哀悼の気持ちがあったから、『被害者』は、謝れ!とは求めないのです。それなら、歴史を否定しないなら、ぜひ南京に行って欲しいです。かつて日本が謝罪ことは誤りであるかのような一部の風潮、ハッキリ否定してきてください。

安倍ドクトリンの後半部分、日本は、日本国憲法のもと、軍隊を持たず、他国に武器を待って入ることもありませんでした。それが国連のPKO活動で自衛隊が国外に派遣され、その後閣議によって、日本国憲法は集団的自衛権の行使を認めているなどと解釈改憲して、昨年安保法制ができあがりました。


戦後他国に出かけて武力行使しているのはどこの国家でしょうか。その本土が他国から攻撃されたのは真珠湾であるが、建国以来アメリカが戦争をしていない期間は極めて少なく、『戦後』は、アメリカは、他国に出かけて戦闘行為に参加しています。平和国家日本、どうしてアメリカに意見して、これを止めされないのでしょうか。対等の、世界に類を見ない同盟国なんですから。『和解の精神』を発揮しないのでしょうか。


これを実践されるよう、見てますよ。