今月半ばにも、衆議院安全保障委員会で決議されそうないわゆる安全保障関連法案に関しては、国会周辺で反対のデモ行進が行われるなど、市民の間でも、この法案を早期に成立させようとする政府与党に反対する声が高まっているようです。
ところで先月神奈川県大和市で開催された『憲法9条やまとの会』主催の『若者と国家ー自分で考える集団的自衛権』の中で、『制服向上委員会』なるアイドルグループが歌った歌が、自由民主党を批判したとして、これは『特定の政党、宗教その他の政治団体などを支持し、またはこれらの活動に関係ないもの』に与えられる市の後援要項に反するとして、後日市の後援が取り消される事態となったと報じられております。
なんでもこのグループの歌詞について、自民党所属の市議から、「表現の自由は尊重されるべきであるが、特定の政党を非難する活動を市が後援するのか、これは名誉毀損、倒閣運動、反政府運動だ…。」と猛烈な抗議を受けた由であります。
この集会では、元内閣官房副長官補の防衛官僚だった柳澤協二氏の講演もあり、一連の次第の中で、このアイドルグループが登場して、替え歌を披露したと言うことです。
この替え歌、すでにあちらこちらに出回っておりますから、この『ひとりごと』にそのまま出しても、変な意図がないことは、ご理解いただけると思います。大きなのっぽの古時計…です。
大きな態度の安倍総理 おじいちゃんと同じ
約5年で復帰したご自慢の政権
民主党の自滅の後にアベノミクスが生まれたの
今はもう円安で得意顔
原発反対に四苦八苦四苦八苦
東電と一緒に四苦八苦四苦八苦
今はまだ動かせない日本の原子力
この歌、まだ先がありますが、やめておきます。
確かに自由民主党や安倍晋三内閣総理大臣を批判する内容が歌われておりますが、『特定の政党を支持し、……またはそれらの活動に関係のないもの』であることに、何ら変わりないと思うのですが。この歌の主は、単に自由民主党がキライなだけであって、こんな歌が、市が後援した場で披露されたからと言って、何処かの政党や団体を市が応援していることになるのでしょうか。
それとも市の本音は、『特定の政党(自由民主党?)を批判してはならない』ことが、市の後援要項の意図するところだとでも仰るのでしょうか。
それから、市は、『憲法9条やまとの会』の申請を認め、後援したのです。それがその団体がゲスト?として呼んだアイドルグループの歌詞が問題だとして後日後援を取り消すのは、まさしくこのグループの表現内容に市が着目したがゆえに取り消しの判断に至ったと自認したに等しく、それこそこのグループの表現の自由に対する不利益処分を課したものと言わざるを得ません。
だいたい公務員には、憲法尊重義務が課せられており、市は、憲法9条を遵守することをテーマにした団体の集会を応援すべき立場にあるのですから、常に後援はできないとしても、いちど決定した後援を取り消すことは、この憲法尊重擁護義務の点からも、簡単に容認できるものではありません。
『制服向上委員会』の歌の様子を放映した番組で、ある芸能人は、「やらされている」とか、「正気なかったよ」なんてコメントを発していました。私は、このアイドルグループの存在も、例の歌も知りませんでした。ちなみに、このアイドルグループは、過去民主党野田政権を批判する歌も、発表したらしいですが、売れなかったのか、民主党が寛容だったのか、誰も今回のような『文句』は言わなかったようです。また、常に原発反対の立場で歌っていることも、初めて知りました。
それはそれとして、本当にやらされているのかどうか興味があって、私は、このグループの18歳の女の子が、沖縄慰霊の日に発したひとりごとを読みました。
そして、とても感心しました。
内容は省きますが、辺野古沖基地移転を強行している人が、「今後も引き続き沖縄の基地負担の軽減に全力を尽くす」と言われても、卒直におかしいとツイートしています。
『戦争法案は戦争への道が開かれてしまう。絶対に止める。戦争はただの人殺し。』この当たり前の考えを持ち、表現したことが、公権力を持つ側の面々は目くじらを立て、発信を阻止しょうとするのでしょうか。
最近のマスコミを懲らしめる、叩くとの発言が、公然と与党議員からなされる現実からしても、表現の自由が危機的状況に至りつつあると案じられてなりません。
たかがアイドルグループの替え歌に、目くじら立てなくてものレベルの問題ではない気がいたします。また、『芸能人』であっても、よく勉強せず、テキトーな発言を、電波に発することはやめていただきたいものです。