政府は、7月17日、いったん決定した2020年東京オリンピックパラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の建設計画を「白紙に戻す。ゼロベースで計画を見直す決断をした」と声明を出し、デザインの変更を示唆しました。
安倍晋三内閣総理大臣は、ゼロベースで変更の理由を、「五輪は、国民皆さんの祭典だ。主役は、国民ひとりひとり、そしてアスリートだ。皆さんに祝福される大会でなければならない」と述べました。
『新国立競技場建設問題』に関して、建設費用2500億円越とされるJSCの決定が承認されたのは、つい先日のことでした。建設費用が当初の1300億円では明らかに不足すること、そして、流線型となるあのデザインが発表された段階から、あらゆる方面から批判されていた新国立競技場建設を、
「時間がない」、「日本を、東京を世界に発信する」「五輪後は、音楽等芸術にも利用できる」等等言っては、計画変更をしなかったのに、まさに鶴の一声です。
新国立競技場が、当初計画されたような多額の費用をかけてまでも立派なハコモノにしなければならないとされたのは、東京五輪決定の場での安倍晋氏の国際公約』であったことを、心ある人は知っています。
この7月に入っても、安倍内閣の官房長官、文科省および五輪担当大臣さえも、国民から批判が強い新国立競技場建設をそのままやり遂げることを強く言っていました。
この件では、最後の土壇場になって、案を承認した舛添要一東京都知事にも、東京都民として失望したものです。それがどうですか。安倍晋三内閣総理大臣は、計画変更は、1ヶ月以上前から検討していて、工期も間に合うことがわかったので、ゼロベースで見直しをすると述べたのです。
遅まきながら、新国立競技場建設が、白紙に戻ったことは歓迎します。
かつて与党議員や国務大臣は、「あれは民主党政権時代に建設が決まったのだから、……。」と仰っていましたから、ようやくここに来て、『民主党の誤り』を責任政党として是正したのでしょうかね。
しかし、おかしいですね。本当に、1ヶ月以上前から、安倍首相が再検討を指示していたのだとしたら、安倍内閣の閣僚の『閣内不統一の発言』はなんだ!となりますし、安倍晋三氏の先輩で、2020年東京オリンピックパラリンピック組織委員会委員長を務める森喜朗元内閣総理大臣は、後になって「生牡蠣みたいで、自分も嫌いだった」と安倍晋三氏の政治的判断を評価する発言をするなんて、間が抜けているとおもうのですが。
7月17日の前日は、衆議院本会議場で、集団的自衛権を行使可能とするいわゆる安全保障関連法案が、可決された日です。国民の過半数が合憲とは言えないと考え、8割前後の国民が、政府与党の説明は不十分で真摯さに欠ける、今国会での法律成立には反対するとの世論調査が出ているのに、政府与党は数にものを言わせ、あっさり可決してしまいました。
その結果、遂に安倍内閣への支持率不支持率が、政権発足後初めて逆転したとの世論調査の結果が出ました。新国立競技場建設問題は、国民の8割から9割が反対しているので、今後予定してい衆議院での再議決『強行採決』と『自民党総裁選挙無投票当選』のシナリオに、支障なきよう計らったことは明らかです。
でも、安全保障関連法案のためなら……の安倍晋三内閣総理大臣のお考えが見て取れましたゆえ、そのためなら、少し『妥協』することはあるかとしれないなんて、淡い期待?をする向きもあるかもしれません。
例えは、辺野古沖移設の件、戦後70年談話の件、川内原発再稼働の件、議員定数削減(特に参議院の合区変更)の件等等。
でも、こんなこと!と言っては甚だ失礼不遜ですが、騙されてはいけません‼︎
これまでの憲政史上強行採決をした内閣は、支持率が20%下がっておりました。
今、安倍内閣支持率は40%くらいになってしまいましたました。支持率20%を切ると、その内閣は、遠からず持たなかったことは、政府与党のお歴々、特にその態度が『おじいちゃんと同じ』と歌にも知られる安倍晋三氏には、無投票当選のためには、そんなこと、百も承知だからです。
この夏、国民の賛否が分かれている問題に関して、安倍晋三内閣総理大臣が、あたかも国民の意向を汲んだと思われるよう事象が出現したならば、『危ない!』と引き締めなければなりません。
オリンピックパラリンピック招致会場での『国際公約』を、あの法案を通すためならいとも簡単に『撤回』する方です。
しかも、ご自分の閣僚や先輩を道化にしても、トップダウンでやり遂げるお方です。オリンピックパラリンピック招致会場で表明した公約と、アメリカ合衆国国民の前で約束した公約とは重みが違うようですから。