今年の流行語大賞が『3分の2』になってからでは遅いんです。

2016年7月6日
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参議院議員選挙期間も終盤戦

終盤戦の情勢として、どの新聞社も、与党3分の2に迫るとか、改憲勢力3分の2確実の見通しと報じております。

 

この選挙、なぜ3分の2がポイントなのかわからずに投票する方、あるいはわからないから投票に行かない方もおられるのではないでしょうか。 『3分の2』が何のことかわからないのは、政権与党が、あえてわからなくしているからです。

 

参議院議員選挙は、政権選択の選挙ではありません。例えば、この選挙で、与党側の当選者が0だったらどうなりますか?街の中に、『この国が危ない! 民進党=共産党』なる掲示やアナウンスが目につき出しました。これはあたかも民進党等の野党に投票したら、日本が、A国やB国のような共産主義国家になるかの喧伝扇動です。

 

もっとも例示されるA国は、イデオロギーがどうのと言われる以前に独裁国家、B国は、成金なんとかと言われるごとく、実際は、資本主義を進めていますね。そんな認識が、日本人少なくとも政治の世界では一般化しているのではないでしょうか。 政権選択の選挙ではないことは、憲法上明らかです。内閣総理大臣は、国会が指名します。

 

もし、衆議院と参議院で異なる議決指名がなされた場合は、衆議院の議決が優先します。予算等でもそうですが、これが衆議院の優越と言われる仕組みです。今衆議院は、過半数どころか3分の2を、与党が占めています。ですから仮に今回の参議院議員選挙で、自民党候補者が1人も当選しなかったとしても、内閣総理大臣が、自民党以外の政党から指名を受けることは100%ありません。まして参議院議員は、選挙の都度半数を改選するのであり、今回任期満了にならない議員は、そのまま残ります。

 

これがどうして民進党?に投票したら共産党政権ができるというのでしょう。

 

もっとも、私は、共産党が悪いとは申しているのではありませんので、もし、この『ひとりごと』をご覧になった共産党関係者がおられたら、誤解なきよう願います。

 

それでは3分の2って何ですか?この『ひとりごと』を書いていたとき、Yahoo!newsか何かで、ある県の新聞社が、その県庁所在地の県民100人に、無作為で質問したそうです。新聞社曰く、「今回の参議院議員選挙は、憲法を改正に前向きな勢力が、 3分の2の議席が確保できる否かが一大焦点の一つになっている。結果いかんでは、戦後政治、人々の暮らしの大きな転換となるが、この3分の2の意味や存在、有権者はどの程度知っているのだろうか?」

 

その結果、全く知らないと答えた人が83人という数字が出たのです‼︎。

 

3分の2は、憲法改正を国民に発議できる議席数、これが両議院から発議されて国民に提案されたとき、国民投票にかけて過半数の賛成が得られたときには、憲法が変わるのです。この新聞社、「知らない」と答えた人に、「今回の参議院議員選挙では3分の2と言う数字が注目されている、さて、何でしょう?」と問うたところ、「知らない」「見当もつかない」「???」と続いて、『正解』を教えられたら反対に、「どうして記者さんは、何で書かないの」そして、自民党の改正草案を読んだことがあるかについては、どこか見たことがある人が10人いたそうです。

 

家族のことが書いてあるとか、新聞報道で知ったが、全部見るのはたいへんなので止めたとか……。

 

さらに、憲法改正に賛成ですか?の質問については、自民党改正草案を理解している人はほぼ0だったわけですが、賛成が35人、反対が51人、その他は、わからないとの回答であったそうです。 これは、『保守王国』と言われる県の現状です。ほとんどの国民が、この3分の2の意味、重要性を全くわからない、認識しないまま、今回の選挙に臨んでいると言うことです。自民党憲法改正草案は、『憲法』と言う代物ではありません。憲法は、人類が過去培ってきた個人の尊厳を根本規範として存在し、為政者、権力を行使する者を縛る規範です。国民のため、権力者にこれの遵守義務を課したもので、『憲法』と言えども、根本規範を冒すこと、立憲主義を否定することはできないのです。

 

ここでいちいち自民党草案を取り上げませんが、今回の選挙で、3分の2を与えると、憲法ではない自民党のお触れ書きみたいな国民に向けた命令書が作られることを意味します。憲法あっての国民の生活です。どうしてこの3分の2が、争点になり得ないのでしょうか? 権力者は、自分は縛られたく無い、だから自分が好き勝手ができる『憲法』を作りたいのです。それは憲法ではありません。でも、誰もそんなことを大っぴらに表明して憲法改正の可否なんて、国民に問うわけないですね。

 

これで何回めかの『アベノミクスを前進させるか、さらにギアを上げ、エンジンをふかすか』が選挙でいわれています。選挙の争点、特に国民生活の変更、戦後政治の転換、戦争放棄を誓った専守防衛政策は、完全に否定されることが、与党側から何一つ説明ありませんね。でも、選挙で議席を確保したら国民から信任を受けたとして必ずやりますよ。安保法制がそうだったではありませんか。

 

最近では、公約になかったこと、公約と違うことを行うのに、『新しい判断』なるものが用いられています。今回の自民党のマニュフェスト、最後の最後に書かれていますよ。自民党は、憲法改正を党是としている政党だってことを。 今、私は、この3分の2の重大性、隠され真の狙いを、Facebookをシェアするなどして、多くの皆さんに知っていただこうとしています。「3分の2って何?」少しでも、3分の2にひっかかりを持たれた方、どうぞきさらぎ法律事務所弁護士福本悟にご質問ください。

 

好きなことを思い、好きなことを言い、好きな行動をする、それはもう、認められません。新憲法、すなわち自民党の、自民党による、自民党のための国民にされてしまいます。

 

今、彼方此方で、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を憲法から無くそう!尖閣に軍事施設を造ろう、天皇を元首と仰ぎ、国体を御璽しよう!の自民党議員らの集会の動画が発信等されています。安倍晋三総裁が会長をされ、実際そんな会議に参列されています。日本が危ない!本当にそう思います。