いつもの指定席で飲むビールの旨味には、旅人の感慨が詰まっているのです。

2016年7月15日
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国内彼方此方に出向くとき、帰りの空港での一杯(いっぱい)は、楽しみのひとつです。


この『ひとりごと』に何回も登場する北海道の新千歳空港でいただくサッポロクラシックは、極上の旨味です。この時期、北海道では、サッポロ黒ラベルの北海道夏バージョンも出ていて、札幌を感じさせます。なぜか大通公園で、トウキビをつまみながら飲むサッポロビールが、美味しく感じる季節です。

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私は、ビールも〇〇も〇〇〇ですが、サッポロクラシックは、濃くなくグイグイいける透き通った美味しさがあります。麦と空気、そして広々とした大地が生み出す恵みですね。


そして麦と言えば、『麦焼酎』の産地福岡県です。九州では麦味噌が主流で、私もこれが好きですが、ビールにも、福岡工場で、とれたての麦芽が使われているのです。今、キリンビールでは、各地の工場で造り上げた地元バージョンが出ています。福岡市では、この時期、キリンの生に出会う機会が多く感じます。




私が新千歳空港で、サッポロクラシックを嗜む店は、北海道の魚介を味わう楽しみと一体となっています。札幌市は、海に面しておりませんが、物量の中心であり、道内の食べ物は、全て集まります。


それと同じ理屈で、北海道の空の玄関口新千歳空港にも、相応な素材が運び込まれます。ここが福岡市とは違うひとつになっていると思っています。福岡大好きな私でも、福岡空港で、福岡の名残りを嗜むなら、空港まで15分の市内で飲み食いしてから空港に来るべきと言います。


ハッキリ言って福岡空港では、美味いものにありつくことはできません。
新千歳空港の飲食店では、北海道を立つときの名残りを惜しみつつ、魚介とサッポロクラシックを夢中になって味わいます。この場所からは、航空機の姿は見えません。ところが、福岡空港で、私が『指定席』としている場所は、ここから滑走路が見えます。


この『ひとりごと』でも、『落ち着く場所が指定席』とご案内したあの場所です。ここで出されるビールは、エビスの生です。私は、値段と格式で、このビール、ダメですが、どーにもあの苦くて濃い味のエビスは、好みではないのです。

でも不思議なもんです。福岡空港のあの指定席で飲むときのエビスの生だけは、好んで嗜むのです。この『指定席』からは、滑走路が見え、航空機の離発着の様子が見て取れます。


いつかお話したとおり、着陸寸前の航空機が、滑走路の中に別の航空機が居て、ゴーアラウンド、すなわち着陸復行をした場面を目撃したこともあります。この場所では、福岡の美味しさを求めるのではなく、福岡の名残りを惜しむ自分があIMG_0617るのです。
空港は、全然別の地域に向かう航空機が、隣り合わせにいるところが面白いです。私がよく利用する羽田空港発福岡空港行き303便の隣のゲートには、午前7時発女満別空港行きが入るところを何回か目にしました。福岡空港では、新千歳空港行きと沖縄那覇空港行きが、隣り合わせになることもあるのです。



でも、出発口には、何処行きかが案内されています。ところが、私が『指定席』から眺める滑走路上の航空機は、何処行きかわかりません。それが空港が絵になる風景でもあり、人々の心に何かを残すひとつとなっているように思うのです。


『人生は地図のない旅』とは、古くから言い尽くされた言葉です。今、自分がこの場所から眺めている航空機は、何処に行くのだろう、私は、これから大好きな福岡から東京に帰る、そのためにこの場所に居るのだと考えると、ふと、今眺めている航空機に乗り込みたい、何処か違う場所に行ってみたいとの感慨にとらわれることもあります。まさに、地図を頼りにしない、行き当りばったりの旅に出たいと思うのです。


私が、いつもの指定席で飲むエビスの生、あれが美味しく感じるのは、未だ未だ自分には、地図のない旅が続いているから、その潤滑油だと勝手に思うことにしました。東京羽田空港は、ただ出発して必ず帰ってくる空港です。こ



の決まりが変わることがないからか、そこで航空機を眺めながら、ビールを飲むことはありません。何か感慨がないのです。ても、必ず帰れる場所かあるから、旅に出られるのですね。


私にとって羽田空港の有り難さは、こうして新千歳空港や福岡空港で、感慨に耽りながらビールを飲むことが許されるところにあるのだと、ようやく気付いたようです。今月は、毎週羽田空港から、何処かへ飛び立っております。

今週もまた、早朝の羽田空港を利用します。用が済んだ後の羽田空港に向かう空港でのビール楽しみに、元気に行ってまいります。