『お客様は神様です』と教えられることは、お客様に現場で対応する者のストレスになることを、理解する必要があります。

2016年9月27日
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以前この『ひとりごと』でも書きましたが、電車内にベビーカーを広げて乗車することの可否が、また議論されていました。迷惑行為のひとつとして取り上げられるのだと思います。結論としては、国土交通省や鉄道の団体からは、乗車OKとされているので『ダメだ』は間違いとなります。

しかし問題なのは、乗り方と言うか、ベビーカー利用者のマナー、常識?だと思われます。危険な乗降をする、連れ立ってワーワー騒ぐ、お菓子を食べさせるなどしてゴミを落とす、堂々と他の乗客の妨げとなる位置にベビーカーを広げる、ぶつけても謝らない等等でしょう。

でも良い風景も目にします。乗降の折、他の乗客が手助けするところ、車内でお母さんが、子どもに優しく車内マナー?を教えるところなどです。要するに、公共交通機関を利用する人の心の持ち方でしょう。

乗客のマナーを言うなら、ときに駅や車内で声を荒げて言い合う姿は、感じ悪いですね。特に酔っ払いが多いらしいですが、駅員にクレームをつける、果ては暴力を振るう事例が増加傾向にあるそうです。駅員さんも、お気の毒と思います。お客様って、なんでしょうかね。お金を払っているから偉いと勘違いしているのでしょうか。

飲食店でも、横柄な態度の客いますね。鉄道会社も飲食店も、お金を受けて、サービスを提供しているのです。法律上は、双務契約と言い、代金とサービスが均衡を保つ関係です。確かに鉄道会社は、目的地までお連れすること、飲食店は、安全確実に料理を召し上がっていただくことまでサービスに含まれているのでしょう。しかし、サービスを提供する側の責任ではないところで、目的が果たせなくなることもあるのです。

関西方面の鉄道会社が運行する電車に乗務していた20代の車掌が、電車が駅に停車して、乗客とのやりとりの最中、突然制服制帽を脱ぎ捨てて線路に降り、高架線の線路からその後数メートル下に飛び降りて重傷を負った『事件』が報じられました。なんでもこの車掌が乗務した電車は、数駅先を通過していた電車に人が飛び込んだために、路線は運転見合わせとなって、しばらく駅に停車していたようです。

すると人身事故のためにしばらく駅に停車したままとなった電車の乗客から、この車掌さんはあれこれ言われたらしく、その直後、先の行動に至ったとされています。事実関係は、よくわからないところがありますが、ある報道では、『車掌、逆ギレ』と書かれていました。

『逆ギレ』なる言葉は、ある現象から生まれた造語でしょう。被害者と加害者がいて、迷惑を被った被害者が、加害者に対して怒りや抗議の姿勢を示したとき、自分が批判されていることに耐えられない加害者が、逆に被害者に対して、開き直り的に怒りの態度を示して刃向かう現象を指すと言われます。

つまり、被害者と加害者が、明確になっている前提があるのです。

この車掌さんが勤務する鉄道会社の電車が、運転見合わせとなったことについては、確かに定時に目的地に到着できない点で、乗客は、被害者と言えるかもしれません。しかし、人身事故自体は、鉄道会社に落ち度があったと言うべきでしょうか。民法では、自己の責に帰すべき事由により、他人に損害を与えた場合に『不法行為』とされます。

少なくとも、この車掌さんは、乗客との関係で、『加害者』に位置づけられるとは思えません。ネット上の多くの意見は、むしろ不可抗力に近い事情により電車は停車しているのであり、乗客が車掌を取り囲んで文句を言うことがおかしい、無理難題を吹きかけられてひたすら平身低頭していたとすると、それに罵声を浴びせたり、怒鳴りつけるほうが『加害者』だと言うものです。

少なくとも『逆ギレ』は、ないだろうです。

鉄道会社に勤務した人は、基本的に鉄道が好きなのだと思います。大好きだったはずの電車の乗務を放棄して、鉄道マンのシンボルでもあったはずの制服制帽を脱ぎ捨てて線路から飛び降りるとは、よほどの精神状態に追い込まれていたのでしょう。公共交通機関の職場にある者として、職場放棄の上、さらに鉄道ダイヤに影響するような仕儀に至ったことは、いち鉄道ファンとしては残念な気持ちです。

しかし、あくまで報道やツイッターからの情報の域を超えませんが、この車掌さんを追い詰めた原因ってなんだうと思わざるを得ません。乗客だってまさか人身事故でダイヤが乱れるとは予想せず、予定を組んでいたでしょう。でも、この車掌さんを問い詰めて、まして文句を言い、さらに早く運行させろ!と騒いだところで、電車が動いて『問題』が解決するものではないでしょうに。何かの腹いせに、お客様は神様であって、運転見合わせに関しては平身低頭するしかない鉄道会社側に当り散らしているだけにしか映りません。反論できない、してはならない人に対する攻撃は、私が特に嫌いなやり方です。

先に申しましたように、運行契約は、双務契約です。片方のみが神様ではありません。もちろん金を支払う前提として、定時に目的地まで運んでくれることがあるわけですが、運行会社に責任がなく目的が達せられない場合にまで、まして、その会社の一従業員に過ぎない車掌さんを吊るし上げて何になるんでしょう。

人身事故も、まして運転見合わせも、この従業員の判断責任ではないはずです。私は追い詰めた乗客の行動に、納得致しかねます。もし、この車掌さんが不条理に対して反論?でもしたならば、さらに大騒ぎになったいたようにも思います。

私がその場に居合わせたら、おそらく車掌さんに文句を言い続ける人たちの姿に、不快感を持ったと思います。乗客のマナーってなんでしょう。公共交通機関の使命はあるでしょうが、これを利用する人のマナーもあるでしょう。

ベビーカーだけの問題ではないと思います。最近車内マナーが気になるおじさんのひとりごとでした。問題の『事件』を起こした車掌さんの回復と、職場復帰を願っています。