南フランスの山中に墜落したドイツの航空機は、病んだ副操縦士による故意の事件の様相を示しているようです。
コックピット内をひとりにしないことが、事件の教訓となっております。
ところで、「なんでひとりなの?」と疑問となるアクシデントが、日本でも起こりました。
先日徳島空港で、滑走路内に車が立ち入っていることを失念した管制官が、羽田空港から徳島空港に向けて着陸態勢に入ったJAL機に、『着陸許可』を出したため、あわや大惨事となる恐れがあったことが、明らかにされました。
このとき、JAL機の操縦室が、滑走路内の車の存在に気づき、後輪が接地したのに逆噴射することなく、急遽着陸を止め、上昇して危機を回避しました。この様子は、ビデオカメラ等に収められていて、ほんの数秒、あと何メートルのところで、車と機体がぶつかるところだったことが知らされたのです。
ブロと言えばそれまでですが、パイロットの機転技術と生命を預かるブロ意識に、敬意を表します。
数年前に、大阪伊丹空港から高知空港に向かったANAグループのプロペラ機が、前輪が出ずに、高知空港に胴体着陸したことを思い出しました。
このときも、ひとりのけが人も出さず、コックピットは賞賛されたのですが、
機長は、「自分の役目は、お客様を目的地まで送ること。ただそれだけ」と社内に報告し、一切マスコミ等の前に姿を見せませんでした。
さて、ブロはブロですが、ブロを支えるシステムがしっかり機能していなければ、ブロはブロとしての力を発揮できません。
徳島空港のアクシデントは、当時管制官は、たったひとりで業務にあたっていたことが判明しました。
テレビドラマではありませんが、管制官がたったひとりの時間があるのだとは、このときまで知りませんでした。
管制官は、国土交通省に所属する国家公務員であることは知られておりますが、私は、新千歳空港は、航空自衛隊が管制を担当していることを知っておりました。
ただ、航空自衛隊千歳基地と『一緒』だった歴史の延長だと思っていたのです。
この徳島空港の一件で、全国の旅客用空港のうち8空港が、自衛隊により、管制業務が行われていることを知ったものです。
自衛隊が担当しているからどうだと言うものではありません、沖縄那覇空港そのものは、日本の管制ですが、上空は、米軍が担当することは以前から知っております。ただ、今回国交省は、自衛隊に管制業務を委託しているので、管制官を常時複数配置しなければならないとは、
ーー国交省の管制官は、そう決まっていますが、ーー申し送していないとのとでありました。
確かに民法の委任契約では、委任した以上、委任者は、委託事務について、受任者に対して具体的に指図できません。
本件で、自衛隊側は、常時複数配置は決めていなかったと発表しました。国交省は、複数管制体制とされるようお願いするようです。
自衛隊の皆様は、任務に誇りを持っておられます。
また、瞬時に自身で判断し、責任を全うすることが、身についているはずです。そんなブロ中のブロに対して、あるいは、「あなたひとりでは心配だから、別の人を入れます」とシステム化するのは可能なのでしょうか?
それとも、こんなところで、『文民統制』シビリアンコントロールなんて、政治の方から見解が出されるのでしょうか?
ともあれ、コックピットも管制室も、たったひとりにして欲しくないと願う私は、臆病な搭乗客であります。