ディズニーに教えられた8月9日

2015年8月13日
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ウォルト・ディズニー・ジャパンの公式ツイッターが8月9日、「なんでもない日、おめでとう」との投稿をし、批判が殺到する騒動になったと報じられています。この日は、70年前長崎市に原子爆弾が投下された日であり、同社は、ツイートを削除し、「みなさまにご不快な思いをさせてしまう不適切な表現がありましたことを深くお詫び申し上げます」と謝罪したとのことであります。

問題となった投稿は、『ふしぎの国のアリス』の劇中キャラクターたちが、『お誕生日じゃない日の歌』を歌いながらお茶会をすると言う『誕生日ではない残りの364日を祝う』と言うものですが、アリスのイラストとともに、日本語で、「なんでもない日おめでとう」のコメントが付されて物議をかもしたようです。なんでも、『お誕生日じゃない日の歌』は、日本語では、『なんでもない日の歌』と意訳されていたからです。

長崎市に原子爆弾が投下された日で、日本人にとっては『なんでもない日じゃない』わけですが、「よりによってなんで今日なんだ!」「日本の公式がするツイートじゃない」等の批判が続出したそうです。私は、ディズニーにはほとんど関心ありませんし、そんなツイート見たことありません。

ただ、このニュースにコメントした人によれば、3月11日、8月6日、そして8月15日にも、かつてわざとらしいツイートがなされていたのだそうです。もし、これが事実だとすると、何らかのメッセージを発しているものととられても仕方ないかもしれません。

この公式ツイッターは、日本のスタッフ関係者が投稿したので、直にアメリカのディズニーの意図が出ているのではないのでしょう。でも、仮にアメリカ合衆国で、未だよく言われる「無謀な戦争をやめさせるために原子爆弾を落とした」の意図が見え隠れするとしても、そしてそれは立場、見方の違いだと言われても、あえてこの日を「なんでもない日」とは言えないはずです。あえて言えば、もし、ディズニーファンの若者の中に、8月9日が何の日か知らなかった(気づかなかった)人が居て、この不謹慎なツイートで、長崎市に原子爆弾が投下された日なのだと認識する機会になったら、かろうじて効果があったかもしれません。

8月15日を前に、あるテレビ番組が、街角で、10代から30歳くらいまでの若者に対して「8月15日は何の日か?」とインタビューしているところが放映されました。インタビューを受けた人のうち『日本の終戦の日』『終戦記念日』と答えられた人は6割を切ったと発表されておりました。回答としては、『うなぎを食べる日』『肝試しをする日』『山の日』等が紹介されておりました。

これはちょっと衝撃ですね。確かに高校社会科の授業では、明治以降の近現代史までは時間切れになるとよく言われます。でも、子どものころから、命の大切さ、戦争の悲惨さ、平和の有り難さは、親から子へ語り継がれるものだと思っておりました。

この時期になると、テレビ番組等でも特集が組まれますから、目にしないことはないと思うのですが。それとも、スマホやツイート等で忙しくて、あまりニュースなんて気にかけないのでしょうか。

図らずもディズニーファンには、8月9日の意味がわかったことでしょう。

ついでに、8月6日、8月15日も、話が及んだことを期待します。ディズニーにより、日本人にとって忘れてはならない8月の出来事を若者が教えられたのであれば、反対に有難いことではいでしょうか。そうであれば、アイドルタレントを多く使って、それぞれの日を若者に知らしめるべく発信して欲しいですね。もっとも、その場合、当のアイドルタレント自身が、それを理解していなければなりませんが。