株主有限責任と取締役の責任

2015年3月2日
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  民事再生法の適用を申請したスカイマークに対しては、かなりの支援の手が上がっているようです。

ANAホールディングスは予想されたところですが、LCCのエアアジアやもともとの母体エイチ・アイ・エスはともかく、金融業界や果ては商社、タクシー会社まで多くの会社が名乗り出たと報じられています。

大手企業が民事再生で復活するには、再生債権の棒引きをしてもなお魅力ある活動を期待するので、どうしてもスポンサーが必要になるでしょう。
しかし、こんなに手が上がるのなら、なんで経営破綻なんてしたのか、破綻する前に名乗りでられなかったのかと不思議に思う向きもあるでしょう。

スカイマークは、良きにしろ悪きにしろ、前代表取締役が全てと言って良いのでは?

私財100億円を投じ、また、倒産直前には、社員に対する給与の支払原資まで枯渇したので、数億円をスカイマークに融資したらしいです。
確かに取締役としての責任はあるかもしれませんが、株主有限責任からすると、なんで?と思わざるを得ません。

スカイマークの保有する羽田空港の発着枠が魅力といわれます。

もともと格安航空代金を標榜して航空業界に新規参入したスカイマークによって、羽田空港発着枠の牙城が、切り崩されたとも評されました。
羽田空港は国際線も増加し、2020年の東京オリンピックパラリンピックを前にして、さらなる需要が見込まれます。
地方路線が赤字に陥って、廃止されるのと極をなす感があります。

航空会社は当然のこと、旅行代理店、タクシー会社さらには消費に影響を与える金融業界にとっても、『羽田』を握ることは相当な経済効果を生みだすものと期待があるのでしょう。
民事再生法の申請後、早速スカイマークは、茨城や米子からの撤退を言い、仙台からも離れるのではないかとも報じられています。

スカイマークは、羽田福岡で始まり、新千歳や沖縄那覇等幹線が主体だったところ、それこそ前代表取締役のころから、地方路線を運航するようになりました。ここは評価してあげて良いと思っています。

とするならば、多く名乗りを挙げたスポンサーの狙いとその後のスカイマークの運航路線、どこを主力にするかは見えております。
羽田空港を起点にした幹線がメインとなるでしょう。前代表取締役は、日本国内は、地方まで飛ばしながら、例のA380型大型機でニューヨークへ一挙にを意図しました。
細やかなこころ使いと大胆な切り込みは、バランスを失したのでしょうか。

相次ぐLCCの参入、円安による燃料費の高騰などにより、経営が悪化した面は否定できず、前代表取締役は、志半ばだったかもしれません。

私は、スカイマークは良く利用します。

前代表取締役は、あたかもミニスカート大好きな助平オヤジのように思われるならば、その評価は?です。

かつて日本航空は、会社更生法の適用を受けました。誰が責任を取ったでしょうか。100億円はともかくも、誰が私財を投じたでしょうか。
そして仲間たち、すなわち従業員を守ったでしょうか。スカイマークは、誰もクビになりませんでした。辞めたのはまさにこの前社長だけです。

私の依頼者は、個人事業主、中小企業の方たちです。
経営破綻すれば、当然全責任を問われます。スカイマークの前社長は、株主として破綻時に数億円拠出しました。
そして何も言わず辞任しました。少なくとも最後は潔いと思います。

羽田空港の枠が喉から手が出るほど欲しい企業が、ハゲタカにならないよう願っています。
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