今上陛下の『お気持ち』を聴いた福本悟のひとりごとです。

2016年8月9日
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日本人にとって、忘れられない、忘れてはならない8月が訪れました。71年前の8月6日と9日、世界初のそして唯一の原子爆弾が、日本に投下されました。その数日後、当時のソビエト連邦の対日参戦があり、昭和20年8月15日、昭和天皇の玉音放送により、日本は、終戦を迎えたのです。


この戦後71年となる今年、今上陛下は、『お気持ち』を述べられ、これがビデオに収められて、国民に届けられました。奇しくも8月8日は、広島長崎で行われる平和記念式典の間の日、ある人は、パパの日と言い、ある人は、陛下のお言葉を、71年前にタイムスプリットさせて、平成の玉音放送と言いました。


国民それぞれが、それぞれに感じたであろう陛下お気持ち、私は、これを拝聴したひとりの日本人として、どうしても書かざるを得ない、言わざるを得ないのです。

今上陛下が、皇太子徳仁殿下に皇位をご生前に譲位される希望をお持ちであることが、先月公にされました。皇室の即位や承継順位等は、皇室典範と言う法律により定めれています。


法律である以上、憲法に従って規定されていることは言うまでもありません。日本国憲法第1条は、天皇は、日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権が存する日本国民の総意に基づくと規定されています。


これが象徴天皇制です。つまり、象徴天皇制は、個人の尊厳を根本規範とし、平和主義と並ぶ柱の一つである国民主権に支えられて存在する憲法ともと、国民は、天皇を日本国の象徴と仰ぐことを決めたのです。声を大にして言わなければならないのは、国内に存在するどこかの政党が目指す憲法改正草案に規定されるような、天皇は、元首ではないと言うことです。


陛下は、『お気持ち』の中で、ご年齢等を理由に挙げられて、象徴としての天皇のお務めを果たすことが困難になる危惧の念を述べられました。全身全霊をもって象徴としての務めを果たし得なくなるとき、どのように身を処していくことが国民にとってよいことか、考えを巡らしできたと明かされました。この『お気持ち』の中で、陛下は、『象徴』と言うお言葉を7回も使われています。


お気持ちの最初に、日本国憲法で象徴と位置づけられた天皇の在り方を日々模索しつつ過ごされたと言い、お気持ちのおまとめにあたっては、象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じると述べられました。今上陛下は、日本国憲法の象徴天皇制を承継することが、天皇そして皇室のお務めと言われているのです。

当たり前のように、何も考えずに、天皇の地位、象徴天皇制に慣れてしまった日本国民は、陛下が『象徴』を繰り返され、日本国憲法の下での象徴、象徴天皇の務めが、常に途切れず安定的に続いていくことの願い、このようなお気持ち、お言葉を述べられた意義を理解したでしょうか。


陛下は、天皇の地位は、国民主権のもと、日本国憲法に根拠があること、この憲法が定めた象徴としてのお務めを途切れさせてはならないと言われたのです。この務めを天皇、皇室として行うために、いわゆる生前退位を願われていると言うことは、とりもなおさず日本国憲法を守り抜くと言うメッセージを発信されたわけであります。

天皇、国務大臣、その他公務員が、日本国憲法を尊重擁護する義務があることは憲法に規定されていますが、そんな形式論を言ってみても、政権政党が、改憲を党是とし、その中で天皇を象徴ではなく、国家元首としている現実を無視することはできません。でも、この政党の改正草案なるものをどれくらいの国民が知っていたのでしょう。


いかに選挙の際隠され続けていたからとは言っても、『3分の2』の議席を与えるなんて…。陛下のこのような『お気持ち』は、先の参議院議員選挙の直後、露わにされました。今上陛下ご自身が、御身を供して国民に知らしめたのです。

私は、参議院議員選挙の投票日に伊勢神宮と並ぶ皇室な大神をご祭神とする宇佐神宮に詣でたこと、ここに昨年から今年にかけて4回、天皇陛下の勅使が見えられたこと、なぜ私がそんな日に宇佐神宮に行ったのか、この『ひとりごと』に書きました。まさかこんなに早く、これをお話しすることになるとは思いもよらぬことでした。

陛下の『お気持ち』の中には、国民統合の象徴として、国民を思い、国民ために祈るお務めを果たされ続けたことに加え、日本の長い皇室の歴史を振り返り、これから皇室が国民とともに在り、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、『象徴天皇』の安定的承継を願っておられるのです。ここまで申せば、陛下が何を仰りたいのか、国民は理解できなければ昔流に表せば『非国民』でしょう。

ほとんどの国民が、今上陛下が生前に譲位されることには、反対しないと思います。苦虫を潰したような顔つきで、早口で陛下のお気持ちを聞いた後、メッセージを発した安倍首相にしても、『反対』は言えないでしょう。だって60%近くの国民が、安倍内閣を支持してるんですから。これから象徴天皇制を前提とする皇室典範の改正等の作業に入らざるを得ません。

象徴天皇制を承継するような諸々の手続きを進める羽目になるなんて、考え及ばなかったでしょうね。一部とんでもないマスコミ、どこかの大応援団は、陛下のお気持ちに沿うために、憲法改正が必要との答えを集めるための露骨な世論調査をしました。でも、そんなことをやっても、陛下のお気持ちは、日本国憲法の象徴天皇制の承継にあるのですから、このマスコミが応援して止まないどこかの政党が求める元首とするような改正を為しないことは、いくらなんでもバレるでしょう。


要は、ドサクサに紛れ込ませて、9条の改正撤廃等をやり遂げようとする天皇のお気持ちを政治利用したくだらない露骨な世論操作に過ぎません。天皇陛下こそ、日本国憲法を守り抜く強いご決意を発信されたのです。

皇位承継者である皇太子徳仁殿下は、これまでの幾つかの会見で、皇室の務めは、日本国憲法を守ることとハッキリ仰ってします。

ある方向を目指す方々は、皇太子殿下のご即位を、心底歓迎しているのでしょうか?それと、皇室典範の改正は、過去他にも論点となった事項がありました。場合によっては、皇位承継順位が変わる可能性もあります。ある政党の総裁が会長を務める最近いろいろなところで名前が出てくる団体は、天皇の生前退位も女系天皇も承認しておりません。


そんなところからか、先月天皇陛下のお気持ちが露わになった直後、菅義偉内閣官房長官は、皇室典範の改正等お気持ちに沿った対応には、否定的な態度を見せました。

このまま何もしないと、少なからず政府に対する批判が起きると思います。

いっぽうで、ある団体との関係から、日本国憲法の国民主権を確認するような象徴天皇制を途切れなく整備するなんて、絶対にできないと考えられます。

先月天皇陛下の生前退位のご希望が報じられた直後、日本国民は、いとも簡単に『3分の2』を与えてしまったゆえに、ご自身を人身御供にしてまで、この国の平和と人々の尊厳、そして天皇制を支える国民主権を守るため、立ち上がったのだとの解説がありました。

恐れ多くも私も、例の宇佐神宮のくだりで、これに近いひとりごとを申しました。陛下は常に国民を思い、全世界の平和を願っておられます。涙が出ます。


本当に有り難いことです。どうか安んじて安寧の日々が送れますようお祈り申し上げます。