他の弁護士に具体的事件を依頼しているのに、きさらぎ法律事務所にいらっしゃるのはなぜかーー福本悟のひとりごとです。

2016年8月16日

弁護士に登録して31年が経過し、今年8月には、50代最後の誕生日を迎えました。

 

私たちが司法試験を受験していたころは、司法研修所の規模がその理由とされるのですが、毎年合格者は500名以内、私が合格した昭和57年は、確か457名でした。

 

現在は、法科大学院を履修するのが司法試験の受験資格となり、裕福な人か、社会人になった後に、受験時代の借金の返済をする人が、法曹資格を得た人の大半となりりました。それでこれが嫌なために、一部では抜け道なんて言われている予備試験を受験して合格、司法試験受験資格を取得する道も、奨めれれている現状です。

 

こうして法曹を希望する人そのものは減っているのに、弁護士の数だけ増えることから、様々な弊害が、指摘されているようです。 数が増えれば競争が活発化して質が上がると言われていました。未だそんな見解が、幅をきかせていないことはありませんが、政府与党ですら、返って質が低下したと言う立場に寄っていて、人口に限りませんが、法曹教育に対して、ここ数年見直しが言われてるいる実情です。

 

競争と質の問題は、ここでは論じません。私が言っていたことは唯一つ、人の生命や権利を預かる仕事には、競争原理を入れてはならないと言うことです。 質の低下を言われることは、仮にそうであったとしても、そうしたのは弁護士会や個々の弁護士だけの責任なのかと反撥したい思いはあります。

 

法曹人口法曹教育もまた、法律で決められました。それよりも、国会議員のほうが、質が低下したと思うのですが、それも今日は言いません。今日お話しするのは、きさらぎ法律事務所を訪れるご相談者から感じるベテラン?弁護士のひとりごとであります。 平成16年に、終戦直後から存在していた日本弁護士連合会の弁護士報酬規定が撤廃されました。

 

 

つまり、弁護士と相談者依頼者を拘束されていた規約はなくなり、弁護士と依頼者で、弁護士費用は自由に決めて良いとなったのです。この報酬や原則的な広告宣伝の自由化が、いくらか質の低下に影響していると思いますが、これを決めた弁護士会が言えるものではありません。きさらぎ法律事務所は、初回の事務所での相談料は無料で、相談時間の制限は設けておりません。

 

これは私福本悟が弁護士十数年を経て、そうすべきだと確信して行っていることではありますが、弁護士業務、法的サービスが有償であることからすると、『無料』は、この報酬自由化により可能となったことは否定できません。この『初回無料相談』で感じることは、これまできさらぎ法律事務所のホームページその他で述べてはおりますが、有り難いことに、この『ひとりごと』をご覧くださる固定のお客様もおられますので、ちょっと書いてみます。

 

ホームページをご覧になって、きさらぎ法律事務所を訪れる方は、そのほとんどが、他の弁護士による相談を経ておられます。それは、きさらぎ法律事務所が、個人事務所であり、宣伝費用などかけられないため、インターネット上で、いろいろ検索用語を入れても、上位に出てることは少ないからではあります。要するに、なかなか知ってもらえないからです。でも、相談に伺った事務所、弁護士さんの回答に満足し、これで解決になると思われたなら、またあの面倒なインターネットをいじって弁護士を検索する必要はないですね。

 

つまり、ご相談者の満足を与えていない、解決になっていないからなのです。私は、解決までの法律相談を心がけております。つまり、単に数時間話しただけで解決することはない、相談は解決までの筋道を立てたものでなければならない、要は、相談後ご依頼を受けることを前提にした相談対応をしているのです。

 

ですから最初は、ご自分が期待した答えが得られないことがほとんどで、諦めかけていたときに、それではどうする、次善の策、ベターなやり方は何かを押さえて、ご依頼を受けるかたちになるのです。 そんな日常で、このところ年々増えているのは、既に事件処理を弁護士に依頼されておりながら、例えば訴訟や調停が係属中に、ご相談に見えられる方が実に多くなっていることです。

 

あからさまに委任した弁護士に対する不満を言う方もおられます。でもそのほとんどが、弁護士を頼んだけれども、このままで解決するのか、あるいは何をやりたいか、この先どうすべきかわからないとの不安を言われて相談に来られるケースです。中には、『セカンドオピニオン』で来ましたと仰る方も。

 

ます申し上げたいのは、既に弁護士に依頼されている方は、『セカンドオピニオン』はありません。その弁護士先生に依頼して解決されるのか、その弁護士先生との委任契約を解除するかのどちらかです。私たち弁護士は、他の弁護士、これを同僚と表現しますが、これがいらっしゃるケースでは、具体的な相談にお答えすることは、倫理規定上他人の受任事件を奪う、あるいは、自己への依頼を勧誘するものとして、禁止されています。相談者にお答えすることで、受任弁護士への信頼は損なわれる恐れが生じるでしょう。

 

ですから、既に弁護士がついていながら、初回無料相談を希望される方には、具体的な回答は出来ない、一般論しか申せないとハッキリご説明いたします。それでも相談に見えられるのです。私ども弁護士の立場からいたしますと、以前は、弁護士と信頼関係が損なわれたケースは、ほとんどが相談者依頼者側に問題があるとの認識でした。これは、上から目線と言われるでしょうが、最近は、そんなケースは少ないと感じます。それなら受任弁護士が悪いのかと言えば、そうだとも言い切れない面はあるのです。 つまり、弁護士の数が増え、広告宣伝も自由になり、相談者から選ばれる時代になったのは良いけれど、その選び方は、あくまで与えられ、ゲットした情報をもとに、ご相談者において決めなければならないからだと思っています。

 

例えば、『離婚に強い弁護士』なんて検索用語を入れると、それは宣伝費用をかけた事務所がたくさん出てきます。私は、古い弁護士ですから、「何が得意ですか?」と問われても、「特にありません」とお答えします。ただし、これこれの事案は扱ったことがある事実はお伝えします。実際きさらぎ法律事務所にお越しなった方に対しては、ひととおり黙ってお話しを聞いた後は、自分の経験しかお話ししません。なぜなら、ほとんどの方が既に法律的な回答を得ていた、あるいはご自分で調べているからです。

 

ご相談者に詳しくお話をお聞きしますと、どうすればよいか、よくわからないままスタートした、依頼してしまった、それは、〇〇に強いと書いてあったから、任せておけばよいだろうの思いがあったと言われます。確かに相談者、すなわち依頼者となる方の着地点収め処を押さえて、そこに行き着くように進めて行くのが弁護士であり、私が心がけていることです。

 

でも実際、〇〇が得意、強いにつられて頼んだときには、相談者がそのとき質問した、希望したことが可能かどうかで受任したのであり、当面はそれで良かったとしても、本当の解決になったのか、返ってそんなことをしたために、別のところで問題がおきてしまったことも、ありうるのです。

 

大切なことは、今目の前にあることだけを、ご自分の視点でなんとかしたいの思いで弁護士を選択する、依頼を決めてしまうのではなく、むしろ自分が期待する答えと反対の回答が出される可能性を考えて、弁護士を選択されたいことです。 どうしてこんなことになるのか、中には、強い、得意と言ったではないかと私の前で、依頼中の弁護士に対する批判ばかりする方もおられました。でも、選んだのはご自身です。できるかどうかではなく、すべきかどうかです。

 

そんなところまで掘り下げて、真に依頼者のためを考えて対応する弁護士は、得意強いなんて空手形を切るのではなく、じっくり話を聞いてくれます。きさらぎ法律事務所にお越しになって、弁護士福本悟に依頼された方ほとんどが、最初は、期待する答えがもらえなかった、怖かった、怒られた?と言われます。

 

それは、私が、弁護士は、相談者におべんちゃらを使ったり、依頼者のいいなりになってはならないと考えているからです。じっくりお話を伺い、それは無理、すべきではない、ではどうするか、一緒に考えていくからです。私からすると、相談者依頼者のいいなりになる弁護士が増え続けることが、まさしく質の低下なのですが、近時は、相談者依頼者側でもそれに気づかれたのか、先のとおり、本当にこの先生大丈夫?の感覚から、セカンドオピニオンを求めるケースが増えていると感じます。

 

でも、具体的事件を弁護士に依頼されている間は、セカンドオピニオンはありません。もちろん、ご自分の判断で、委任契約を締結している弁護士を解任して、白紙の状態から新たな弁護士を選ぶことは可能ですし、実際そんなケースで、ご依頼を受けた経験はあります。

 

挽回するのに、とても苦労しました。

 

ですから、決して〇〇に強い、〇〇が得意につられずに、自分の目で、実際複数の弁護士と会い、依頼を決めて欲しいと願っています。

 

今日もまた、そんなご相談者がいらっしゃった福本悟の願いを込めたひとりごとであります。